コンセプトから商品化に至る道のりは、かつてなく困難に…

コンセプトから商品化に至る道のりは、かつてなく困難に…
素晴らしい設計コンセプトを考案するのは、それほど難しくありません。しかし、エレクトロニクスおよびハードウェア開発に実際に従事した人が誰でも言うように、コンセプトを商品化するプロセスには、はるかに多くの課題が存在します。
ハードウェア製品開発サイクル
- 概念化:設計コンセプトは、市場の実際の需要または潜在的需要に基づいて提案されます。これは、「ブレーンストーミング」の段階です。
- 設計プロトタイプ:適切な開発プラットフォームおよび技術パスを選択した後、設計コンセプトの実現性、機能、その他をテストおよび検証する目的でプロトタイプが設計されます。
- 商品化:プロトタイプの商品実現性は、コスト、外観、安全性などの基準に従って査定されます。このような項目を確認した後、製品は、小規模ロットで製造およびテストされます。
- 大量生産:次に、プロトタイプは、生産ラインの慣らし運転期間を乗り越えなければならず、開発者は、大量生産のための信頼できるサプライチェーンを見極めなければなりません。製品が大量生産段階で失敗し、先行きの見えないヴェーパーウェアになることも稀ではありません。
- アップグレードおよび繰り返し:市場で破壊的な変化が起きた場合、製品を発表前にアップグレードまたは修正し、プロセス(またはその一部)を最初からやり直さなければなりません。
このような段階をうまく乗り越えたら成功です。「コンセプト」から「商品化」に至る危険な大海原を渡り切ったということです。この「航海中」、注意を怠ると船を転覆させうる「暗礁」が多く存在します。「試行錯誤」のコストは、ソフトウェア業界にとって想像を絶するほど莫大であり、「失敗して最初からやり直すこと」は普通です。これは、ハードウェア業界の新規参入者の多くが失敗する理由でもあります。
IoT時代の新たな課題
IoT時代の到来により、多くの人々は、「コンセプトから商品化」に至るプロセスがさらに困難になったと感じています。
IoT(モノのインターネット)は、ハードウェア製品の接続を促し、独立した存在ではなく、より大規模なネットワークの一部となりつつあります。したがって、製品開発者は、個別製品の設計に集中するのではなく、IoTシステム全体をより明確かつ包括的に理解しなければなりません。
IoT製品およびアプリケーションは、基本的に「データ主導型」であるため、データが流れて中効率・高効率のネットワークで利用されることを念頭に製品を設計することは不可欠です。通常、IoT製品の開発者は必然的に次のような課題に直面します。
- クラウド統合:重要な前提は、IoT機器(神経終末)をネットワークへ接続すること、そして「頭脳」(クラウド)で処理するためにデータを収集することです。
- クラウドサービス:クラウドで処理された結果は、エンドユーザーへ「サービス」を提供するのと同様に、無線送信などの方法でIoTネットワークのエッジ(端)の機器へ戻さなければなりません。製品の設計においては、クラウドサービスがコードおよびコマンドをシームレスに受信し、エンドユーザーが「読んで理解」できるように適切なヒューマンマシンインターフェース(HMI)を使用してメッセージを変換する必要があります。
- コンピューティングアーキテクチャ:すべてのコンピューティングをIoTネットワークおよびクラウドへ移行することが最適なソリューションでなことを認識する人々が増えています。コンピューティングをクラウドとエッジに均等に分散することが理想的です。このようなコンピューティングリソースの配置は、個別の機器でローカルに行われるのではなく、「クラウド学習およびエッジ推論」モデルを使用したAI機械学習アプリケーションなど、ネットワークのコンピューティングリソース全体を十分活用するためにネットワークアーキテクチャ全体を考慮する必要があります。これは、多くの開発者が現在直面している比較的新しい課題です。
- セキュリティ:同様に、機器をIoTネットワークへ接続したら、セキュリティは個別機器に留まらず、ネットワーク全体のセキュリティ原則に従わなければなりません。この複雑なシナリオには、従来のハードウェア開発者がまだ把握していない多くの側面があります。
一旦、ハードウェア製品が「インターネット」の一部になったら、コンセプトから商品化のプロセスにおいて1次元の製品開発パスを続けられないのは明らかです。その代わり、この土台に「IoT」の新たな次元を重ね合わせ、より複雑な2次元「パズル」を構成しなければなりません。製品開発において、パズルのピースを省いたら、間違いなく将来の問題につながります。
IoT製品開発のサポートエコシステム
IoT製品設計の複雑性が増したことで、開発者は多芸多才にならざるを得なくなりました。技術者は、ハードウェア、ソフトウェア、エッジ、およびクラウドを熟知した「何でも屋」になることが理想的です。しかし、これは非現実的な期待です。現実的な理由で、多くの開発者は、包括的な設計エコシステムを活用するために、外部のリソースを使用しています。
当然のことながら、野心的な技術サプライヤーは、すべて包括的なIoT設計エコシステムの構築に注力しています。業界全体のさまざまな企業が、この共通の目標に向かって取り組んでいます。
半導体メーカーは、IoT設計エコシステムの構築において重要な役割を果たしており、製品の根幹で中核的なハードウェアリソースと密接につながっているため、リソースおよびパートナーを含む「サークル」を構築できます。これは、特にコンセプトからプロトタイプへの段階において、ハードウェア/ソフトウェア開発ツールおよび設計サービスなどの設計リソースの場合に当てはまります。
クラウドコンピューティング(AWS、Microsoft、Alibaba Cloudなど)および製品メーカー(Appleなど)は、同時に独自のエコシステムの構築に取り組んでいます。エンドユーザーに「より近い」こと、および大規模な会社と数多くの業界リソースを持っていることは、明らかに利点があります。当然のことながら、これら企業は、開発者会議において常に大きな存在感を示しています。しかし、この種の企業のエコシステムは、主に「ソフト」会社であり、最上層のアプリケーションを扱っています。
上記のハードウェア/ソフトウェアエコシステムに加え、技術ディストリビュータは、新たなIoT設計エコシステムを構築しつつあります。ディストリビュータは、包括的なサプライチェーン管理サービスに優れており、各対象業界で事業に従事し、長年にわたりクライアントにサービスを提供しています。業界の内部者として技術的な知識経験を蓄積し、最新の市場動向を把握しているため、IoT業界のサプライチェーンにおいて上流から下流まで統合したリソースを提供できる理想的な立場にあります。したがって、技術ディストリビュータは、包括的なエコシステムを素早く構築して、クライアントに全面的なサポートを提供できます。
アヴネットは、典型的な例です。下記の図が示すように、同社は、製品開発でもIoTソリューションでも、顧客が必要とするリソースと顧客をマッチさせることができます。顧客は、エコシステムの一部に「接続」するだけで、いつでもどこでも必要なリソースにアクセスできます。
図1:アヴネットのIoTエコシステム
言い換えると、IoT時代は、エンドユーザーに個別の製品を提供するのではなく、IoTシステムに基づく一連のサービスを提供することになります。これは、製品やサービスの品質を決定づける重要な要素です。優れたパートナーであれば、社内の開発能力だけでなく、包括的なエコシステムのリソースを顧客に提供できるでしょう。パートナーの選択が重要であることは明らかです。アヴネットは、主要な技術サプライヤーの1つとして、「コンセプトから商品化」に至る厳しい行程を道案内できる完璧な立場にあります。