BCGセンサー技術が「より身近に」

通勤中に交通渋滞に巻き込まれてスタートとストップを繰り返していると、一歩も前進していないように感じることがあります。目前に見えるのは延々と続く止まった車列であり、広大な駐車場の真ん中にいるように感じます。このような状況で不安を感じるのは当然です。心拍数が増加し、血圧が上昇します…。

バイタルサインは微妙で、常に変化しています。わずかな感情の変動が、一連の生理学的な動きをもたらすことがあります。バイタルサインが人の健康状態を判断する重要な数値であることは、幅広く受け入れられており、患者の健康状態をリアルタイムで正確に把握するために、色々な種類の生理学的指標が使用されています。

近年、バイタルサイン監視の考え方が医療分野を超えて徐々に広がり、さまざまなバイタルサイン監視製品が開発されてきました。光電容積脈波法（PPG）ブレスレットや心電計（ECG）など皮膚に直接触れるバイタルサイン検知機器は、既に一般的に使用されています。この種の機器は皮膚に固定または貼り付ける必要があり、特に睡眠を監視する場合は、体の動きが制約されるように感じることがあります。固定式の場合は利用者の通常の睡眠習慣を変化させ、不安を高めることさえあるため、監視の目的そのものにとって逆効果です。これを考慮して、主に心弾動図記録法（BCG）を用いた非接触型のバイタルサインセンサー技術が台頭しつつあります。

BCGの考え方は、1877年に初めて提案されました。鼓動および動脈血流により生じる人体表面における外圧の小さな増加を計り、基本的に心臓の機械的な影響を計測します。その医療的価値は、かつて心電計（ECG）と同等でした。しかし、計測の安定性や困難さなど、さまざまな要因により、徐々に実験室で使用されなくなりました。今世紀初頭以降になり、BCG技術は、台湾および世界の主要な研究機関において再び注目されるようになりました。センサーに関する数々の技術進歩を考慮すると、大きな医療的潜在性を持っています。BCGとIoT技術との自然な相乗効果には、さらに期待が膨らみます。

すべてがヘルスモニター

BCG信号の捕捉機器は、1個のセンサーと一連の信号調節回路で構成されています。高精度センサーを、枕、マットレス、テーブル、椅子など適切な体重計に「隠す」ことで、皮膚に接触せず利用者の通常の仕事や休憩を妨げることなくバイタルサインを監視できます。BCG技術を利用することにより、このような一般的な家庭用品をハイエンドの「ヘルスモニター」へ変換できるのです。

心臓が鼓動と調和して人体に一連の定期的な運動および振動を生じさせることは、ずっと以前に科学的に確認されています。これらの信号はセンサー回路を介して検知され、差動プリアンプ回路、多段アンプ回路、DCブロッキング回路、トラップ回路、およびバンドパスフィルタ回路に通され、最終的には分析のために利用できるBCG信号が取得されます。

BCG信号自体は非常に弱いため、呼吸、身体の動作、および商用電源周波数によって簡単に歪められます。そのため、結果として直接取得したBCG信号はノイズに曝されることが多く、心拍数や呼吸など、バイタルサインに関する生理学的データを抽出できません。したがって、BCG信号の特性を回復させ、復旧してBCG信号を特定するために、信号のノイズリダクション処理を行う必要があります。

ノイズリダクションの最も一般的な方法は、ウェーブレット変換（WT）です。WTではBCG信号が、圧電センサーおよび信号調節回路の処理、変換、およびノイズリダクション処理により、ミニボルトの識別可能な電圧信号へ変換されます。最後に、処理済みの信号は、チップによりアナログからデジタルに変換されます。コントローラの説明によると、BCG信号の値は画面に簡単に表示し、計算処理、分析、および評価に使用することができます。

BCGセンサーは「圧電式パッシブセンサー技術」を土台として、休憩中または睡眠中に心臓の機械的な鼓動および呼吸による胸部や腹部の動作を正確に検知し、ハートビート間隔や呼吸数など重要なバイタルサインを計測できます。BCGは、ハートビート間隔（HBINT）、呼吸変動の特徴抽出、またモデリング技術を利用して、閉塞型および中枢型の睡眠時無呼吸を非接触でも検知できます。これにより、誰でも自分の健康状態をリアルタイムで監視し、病気の早期警告サインを捉えることができるのです。

医療用IoTのパズルにおける最後のピース

医療用の監視製品には多くの種類がありますが、大規模な医療機器は、一部の用途では不適切です。そのため、家庭用バイタルサイン検知機器を開発する十分な余地があります。私たちは、5G、人工知能、その他の関連技術を使用することにより、非接触型の家庭用バイタルサイン検知機器が医療用IoTの「神経末端」になることを期待できます。これは間違いなく、監視製品が使用される臨床治療を補完および改善し、これによって何千人もの利用者は自分の健康モデルを構築して、人生を通して自分の健康を管理できるようになるでしょう。

BCG機器など、非接触型 で最小限の管理しか必要としない専門医療端末は、将来のスマート検知、スマートライフ、およびスマート医療において重要な位置を占めることになるでしょう。これは本当に心強いニュースです。