ミリ波の先にテラヘルツ領域が待ち構え

第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)は、5G規格の開発において常にミリ波を使用しました。 5Gは、特定のアプリケーションに対応し、低い周波数では利用できない複数のギガヘルツ領域へのアクセスを提供するために、本質的にミリ波を使用します。 しかし、そこで留まりませんでした。
世界中の研究者は、100 GHzを優に超える周波数、さらにテラヘルツ領域さえ探求しています。
現時点で、無線通信事業者は、周波数24 GHzおよび28 GHzにおけるネットワークの導入において大きな困難を抱えています。したがって、さらに1桁高い周波数でどのように実現できるのか、疑問に思うのも当然です。 技術的性質に関わるあらゆる議論と同様、真実は詳細事項にあります。特に、さまざまな波長における伝搬特性に関わる詳細事項です。
テラヘルツ領域を完全に理解するためには、電磁スペクトルがどこに位置するか、つまり、無線信号の生成に発振器が使用される場所と光通信手法により、光を生成する場所の間に位置することを認識することが重要です。 ミリ波は非常に短いですが、100 GHzでの全波長はさらに短く、100 GHzで3ミリ、10 THzで0.3ミリです。 したがって、理論的には、多くの課題を克服できれば、システム全体を1インチ未満に構築できます。
ただし、はるかに低いミリ波周波数で非常に多くの帯域幅が利用できるにも関わらず、このような極高周波数をなぜ使用する必要があるのか理解しておくことが重要です。 その答えは、テラヘルツ領域100 GHz~10 THzには、特有の利点が備わっているからです。
具体的な利点として、干渉に対する抵抗性があるためデバイス同士を互いに隣接して使用できること、伝播距離が短いため本質的にセキュリティが高いこと、そして5Gより1000倍高速の1Tb/秒 (100万Mb/秒)のデータ転送速度を1つの連続周波数帯を介して達成できることが挙げられます。 可能なアプリケーションとして、高解像度ホログラフィックゲーム、データセンターにおける高速無線データ配信、無線認知、検知、イメージング、高精度の位置特定および位置決めが挙げられます。
直線的な世界ではない
周波数が高いほど伝搬喪失が多いことは当然のように思えますが、それは事実であっても、さほど簡単な話ではありません。 UHFおよびマイクロ波周波数の場合、伝搬損失は、主に非常に低い分子吸収により生じます。 しかし、周波数の高い領域では、降水や木の葉からの散乱など他の要因が関わり合い、受信範囲および信頼性が大きく低下することがあります。
ただし、伝搬損失は直線的ではありません。というのは、電磁エネルギーを吸収する大気中の酸素、水素、その他の気体共振周波数は、周波数によって異なるからです。 したがって下記の図を見ると、100 GHz (0.1 THz)での大気吸収は、300 GHzよりわずかに高いだけですが、周波数が高くなるにつれ増加し続け、10 THzでは非常に高くなっています。
論理的に考えると、大気減衰は周波数とともに増加するため、テラヘルツ領域での運用は夢物語のはずです。
しかし、この図が示すように、減衰の増大は直線的ではなく、超高利得アンテナを追加することで大幅に軽減できます。 (出典: The Truth About Terahertz, Carter M. Armstrong, IEEE Spectrum;2012年8月)
このような特性は、特にニューヨーク大学工学部タンドン校の電気およびコンピュータ技術教授であり、NYU Wirelessの創立取締役であるTed Rappaport博士により指摘されています。 Rappaport博士は、アンテナアパーチャが伝送経路の末端で同じサイズである限り、大気による伝搬損失は周波数が高まるにつれ2乗のオーダーで減少すると指摘しています。 したがって、リンクの末端において一定のRF出力および同じアンテナであれば、自由空間における140GHzでの信号強度は、実際に73GHz において5.7dB大きく、28GHzにおいて14dB大きいです。
また、テラヘルツ帯域幅の場合、サブ6GHz周波数と比較して驚くほど損失が少なく、約300GHzに至るまで約10dB/kmだけ増加するだけです。 さらに、600~800GHzの周波数のほとんどは、100~200dB/kmの大幅な減衰が生じ、これは距離100mの場合、わずか10または20dBに相当し、これは偶然ですがスモールセルの典型的な受信範囲です。
これら周波数におけるアンテナは非常に小さいため、数千個のアンテナ素子を使用して非常に狭いビーム幅で大量のフォーワード利得を生み出せるという事実を考慮すると、アクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ技術を使用することにより、かなりの出力を特定エリアに差し向けることができます。 とは言っても、300GHzは、10THzよりはるかに低く、100,000dB/kmの減衰により、長距離の信号伝搬は不可能になります。 それでも、メッシュ型ネットワークまたはリピーターを使用して受信範囲を広げることができます。
これら周波数には、音声およびデータ通信を超えて多くの用途があります。おそらく最も明らかなのは、衛星間通信であり、狭ビーム信号の本質的なセキュリティを活かしてセキュリティを確保できる大きな利点があります。 事実、国防省は、長年にわたりミリ波周波数を使用してそれを実現しており、信号の妨害および傍受をはるかに難しくするために、周波数の高い領域へ移行することに興味を持っています。
困難だが不可能ではない
テラヘルツ周波数の潜在性を実現するために、半導体からネットワーク設計まで、大きな技術的進歩を必要とします。 これらは少なくとも通信目的では長年必要なわけではないため、研究者は、これら問題の取り組むために少なくとも10年と多少長い期間、時間があります。
FCCは、テラヘルツの利用がもたらす技術的課題を認識しています。 2019年、FCCは、95GHz~ 3THzのライセンス不要の周波数でほぼルールなしの実験経路を提供するNew Horizonsと呼ばれるプログラムを開始し、Spectrum Horizons Experimental Radioライセンスを生み出しました。 これは、周波数範囲、出力、エミッションなどの仕様において大きな柔軟性を提供しており、唯一の制約は、実験者が既存のサービスへの干渉を起こしてはならないことですが、これは明らかに少ないものです。 21GHzを超える周波数は、116~123GHz、174.8~182GHz、185~190GHz、および244~246GHzで利用できます。

