SiCだけではない、EVを動かす「黒子」たち

エコ旅ブームを背景に、重要なエコ・モビリティの一つとして、私たちの暮らしの中で急速に普及が進む電気自動車(EV)。この「アイアンマン」が自在に駆け巡るためには、効率性と信頼性に優れた充電インフラが欠かせません。
EV充電システムの「心臓」として、今最も注目を集めている「スター」が炭化ケイ素(シリコンカーバイト / SiC)ですが、この「心臓」が力強く脈動するためには、多くの「脇役」たちが協力し合う必要があります。高性能のインダクタ、コンデンサ、コネクタといった受動部品は、いわばEV充電システムの「神経系」であり、一体となって高効率の安定した充電システムを作り上げています。これら見えない「黒子」たちが、EVの急速充電に欠かせない役割を担っているのです。
SiC:EV充電の「スーパーヒーロー」
次世代半導体材料の一つであるSiCは、耐高温、耐高電圧、低損失といった優れた性能で、EVの分野に技術革新とエネルギー効率の向上をもたらし、その進化に大きく貢献しました。SiCデバイスによって充電効率が大幅に向上し、充電時間が短縮できたほか、充電器の小型化、軽量化も実現しました。
アヴネットのSiC高パワー密度3.3kW双方向PFCソリューションは、インフィニオンのCoolSiCとCoolMOSにより、50%負荷時に99.2%近い変換効率を実現しています。さらに、双方向潮流をサポートしており、バッテリーの充電、蓄電、フォーメーション等に応用でき、効率性の高い電力の貯蔵と変換が可能です。このソリューションにおいて、SiCは非常に重要な役割を果たしています。
SiC高パワー密度3.3kW双方向PFCソリューション
市場調査会社Yole Developpementのデータによると、エコカー産業の急速な成長により、SiCパワーデバイスの需要は爆発的に増加しています。2029年には世界のSiCデバイスの市場規模は100億米ドルの大台に乗り、2023~2029年の年平均成長率は25%となると予測されています。
しかしながら、現在の自動車における、効率性と信頼性の高い充電システムは、SiCデバイスのみで実現できるものではありません。インダクタ、コンデンサなどの受動部品も、システムの「縁の下の力持ち」としてきわめて重要な役割を担っているのです。
EVの「走り」を強力に支えるMLCC
EVにおいて受動部品の役割は軽視できません。なかでも中心的存在と言えるのが積層セラミックコンデンサ(MLCC)です。MLCCは、EVや先進運転支援システム(ADAS)、車載用コネクティビティ技術において、主要電子部品としてきわめて重要な役割を果たしています。
セラミック層と金属層を交互に積層した構造をしており、小型化、大容量化、信頼性の高さを実現したMLCCは、今やEVの電子システムになくてはならない存在です。1台のEVに必要なMLCCの数は、なんと1万~1.5万個。これらがまるで超小型の充電スタンドのように、バッテリーに持続的に電力を供給するのです。
EVや先進運転支援システム(ADAS)、車載用コネクティビティの普及とともに、MLCCの需要も増加しつつあります。CO2排出や燃費性能に関する規制の厳格化も、カーエレクトロニクス業界におけるMLCC需要を押し上げています。
RationalStatの最新の業界分析によれば、2023年の世界における車載用MLCCの市場価値は推定123億米ドルに上り、2023~2030年には年平均成長率6.0%を超える急速な成長が見込まれています。
このようなトレンドを背景に、多くの業界大手が市場でイニシアチブを握るべく、車載用MLCC分野への投資を拡大しています。大容量MLCCは業界が目指す方向の一つです。EVに搭載するMLCCは、超高速で充電や動力伝達を行うため、バッテリーから伝達される高電圧に耐える性能が要求されます。また、EVが必要とする車載部品の数が増加するにしたがって、半導体の動作の安定性を保つために、大容量化が不可欠になります。
将来、充電の心配はなくなる
SiCデバイスは、今まさにEV充電の新時代を切り開こうとしています。そして、この変革をがっちりと支えるのがMLCCをはじめとする受動部品です。受動部品の合理的な選択と最適化は、充電システムの効率性、信頼性、性能のさらなる向上につながります。EV充電システムは今後も効率化、スマート化、サステナビリティの方向に進化を続けるでしょう。また、技術の進歩につれ、SiC技術と高性能受動部品の応用もさらに普及していくことでしょう。
近い将来、EVがガソリン車と同じくらい手軽に「燃料補給」できるようになり、より便利なエコライフが実現するよう、アヴネットはこれからも最新技術を利用し、より豊富なEV充電ソリューションを提供することで、グリーンエネルギーの普及に積極的に貢献していきます。
