「信頼性が不十分な世界」で「信頼できるアナログ回路のデザインに従事」
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アナログはすべてに関わっています。過去数十年間にメーカーが開発した多数のアナログまたはミックス信号シグナル部品がなかったとしたら、これほど多くの産業セクターを飛躍させたデジタル「革命」はあり得なかったと考えます。

同様に、システムまたはシステム部品が、その寿命の間、一定の条件下でエラーを起こすことなく意図した機能を果たす確率として定義される信頼性の向上へ注がれた努力なくしてはこの進歩は起こり得なかったでしょう。

半導体業界においては、特に安全性が不可欠な市場では、設計・製造する製品の信頼性を改善する以外の道はありませんでした。例えば、現在自動車業界は適用条件としてはもっとも厳しい18年間欠陥ゼロを維持する乗用車とトラック用のチップを要求していることを思い起こしてください。また、一部の産業アプリケーションでは、センサーの交換が困難で部品レベルの修理が除外されなければならない条件において、チップは20年もしくはそれ以上の耐用年数を要求されています。

信頼性のためのデザイン

bathtub curve chart Figure 1: The 'bathtub curve' (blue, upper solid line) is a combination of a decreasing chance of early failure (red dotted line) and an increasing chance of wear-out failure (yellow dotted line), plus a random failure constant (green, lower solid line). (Source: Wikipedia, public domain).

信頼性問題の主な原因はデザインの複雑化、エラーが多発する工程、および堅牢性評価の検証制限などにあります。そこに関与するメカニズムは、エラーを発生する物理、化学、電気、熱学などの工程です。

問題となる原因の一つは相補型金属酸化膜半導体(CVMOS)技術のスケーリング微細化で、必要電力が少ない小型で高速のチップに機能性を付加しました。スケーリングは高度に統合した混合信号システムのデザインを容易にした一方、デジタルICのようにはアナログ回路に適合しないという信頼性問題を提起しました。一般的には、極めて発達したノードはデザインのアナログ部分のトランジスタには大きな影響を与えません。

この論文ではアナログデザインと保護コントロールICの観点から信頼性を検討します。アナログは、設計者がデザインツールに大きく頼ることなく自ら取り組まなければならないという異なったアプローチを必要としています。アナログ設計では自動化が総体的に欠けているため、品質とパフォーマンスの達成という重荷は設計者個人および設計チームの経験にいっそう多く依存します。

信頼性は開発サイクル全体の中に織り込まれなければならないことが慣行として受け入れられています。これは信頼性のための設計(DFR)として知られており、顧客の期待が製品の全耐用期間を通じて十分に満たされるよう、通常は初期のコンセプト段階から製品老朽化の全期間を通じて採用されています。DFRは問題発見のためのテストおよび信頼性予想のための統計的分析手法に基づいて、生産リリースに先立って設計中止または失敗する可能性があるモードの軽減を行うことができます。

この段階での信頼性エンジニアリングは、冗長性、ビルトインテスト、および高機能診断のような手法を通じてシステム堅牢性向上を求めます。ディスクリートなアナログ部品のパラメーターは時と共に変化する傾向があります。環境に与える効果、腐食、振動、温度などもまた問題となります。信頼性テストは製品またはシステムのライフサイクルをを通じて、部品、サブシステム、システムレベルで行うことができます。

システム保護

電気系統内部のエラーは、装置の故障または外部の障害によって発生します。しかしシステム内の適切な回路保護を導入することにより、例えば、電気的故障を遮断するために系統内の回路を開くことによって被害が防止できます。この保護システムは、電気的故障による電圧と電流を感知します。

アナログ出力回路保護は様々な状況に対処します。環境とアプリケーションを理解することは、エンジニアがアナログ出力を保護するために何をどの程度行うべきかを決定する際に役立ちます。

共通回路のエラー(順/逆の電圧/電流保護のような)に対して保護をするためには、MAX17608/09/10の可変過電圧・過電流保護デバイスはプラスまたはマイナスの入力電圧エラーからシステムを保護するのに最適です。調整可能な入力過電圧保護範囲は5.5Vから60Vで調整可能な入力低電圧電圧保護範囲は4.5Vから59Vです。入力過電圧ロックアウト(OVLO)および低電圧ロックアウト(UVLO)の閾値は外部抵抗器を使って設定します。

デバイスは最大1Aのプログラム可能な電流限度保護が特徴とし、これによって出力で高電気容量の充電中に起動時の突入電流を制御します。

MAX17608とMAX17610はアウトからインへの電流を遮断し、MAX17609は逆方向への電流を許容します。本デバイスは過度の電力消費に対するサーマルシャットダウン保護が特徴です。小型の12-pim (3mm x 3mm) TDFN-EPパッケージで利用可能です。

Figure 2: The MAX17608/09 typical operating circuit. (Source: Maxim)

信頼性モニタリング

故障率を最小化するために、主要ウエハー製造工程および組立工程から出荷されたデバイスサンプルの信頼性は加速条件下でモニタリングされる必要があります。サンプルの大きさは可変ですが、通常は種々の環境ストレス間に分割したグループに対しデバイス200個(またはそれ以上)です。さらにこの結果は定期的に発表する報告書においても更新されます。

ICを保護し相互接続するパッケージングもまた信頼性保証対象の一環でなければなりません。通常パッケージはICチップを保持する導電性合金リードフレーム製で(フリップチップ、直接チップ接続、または金属ワイヤなど)リードフレームに接続する機構が付いています。組立て済みリードフレームは、ICリードフレームを保護し機械的な安定性を備えるためにエポキシまたはセラミックのような種々の素材を使った容器に格納されます。

パッケージの完全性試験によって現在有効な仕様書に準拠した製品受入品質を確認します。例えば、超音波テストはパッケージの空虚部および内部インターフェースの分離や亀裂を検出できる、感度の高い非破壊技術です。JEDEC-J-STD-020のような標準は非密閉で固体の表面マウントデバイス(SMD)の吸湿耐性水準クラス分類の特定に利用できます。この方法により、はんだ付け作業中の湿度によるストレスに起因する損傷の可能性を防止できます。

その他の高温状態および最大動作電圧でのデバイスの通常性能をシミュレーションするため、その他のストレス条件も利用されます。すべてのエラーに関して原因分析が行われます。この分析結果は、発見されたエラー発生メカニズムを除去するための是正措置を確率するために利用できます。

デバイスの初期・長期稼働状態を見るため、加速条件下で、様々なポイントを選び出し、電気的な試験が行われます。デバイスは、電圧・温度範囲の全体において、すべてのデータシートの仕様を満たすことが要求されます。

Maximは、生産ラインから出荷されたデバイスサンプルの信頼性をモニタリングしています。当社の信頼性モニタリングプログラムについての詳細情報は下記ウェブサイトをご覧ください: https://www.maximintegrated.com/en/support/qa-reliability/reliability/reliability-monitor-program.html

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