「感じる」ことができるタッチ画面を作る方法

スマートフォンの普及により、タッチ画面が現代の生活に入り込んで10年以上経過しました。タッチ画面がHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の革命の起点となったと言っても過言ではありません。タッチ画面が出現して以来、キーボード、トラックボード、スタイラスペンなどの機械的なHMI装置は、徐々に指に置き換わられており、他に操作に必要なもの必要なくなりました。
画面サイズが大型化するにつれ、スマートフォンに残っているわずかなボタンは、徐々に不要となり、一部のモデルでは数年前に完全に「取り除かれ」ました。最新のスマートフォンの画面は、すべてタッチ式です。ただし、これは、ユーザーにとって問題がないわけではありません。たとえば、黒い画面のスマートフォンをいくつか並べて置いた場合に互いに区別することは困難です。
また、ボタン付きの機械式HMI装置を使用した触知体験は、ユーザーが動作を「感じて」チェックできる明確なフィードバックを提供してくれますが、通常のタッチ画面は、そうではありません。たとえば、タッチ画面の仮想ボタンを押しても、「タッチ」が検知されて対応数機能が起動したことが必ずしも保証されるわけではありません。
この問題を解決するために、他の補完技術が開発されました。たとえば、触覚フィードバック技術は、タッチ画面の欠点を補うことができます。基本的に、触覚フィードバックは、物理的な機械式ボタンを押した感覚を模倣するために特別なアクチュエータを使用して特殊な振動を発生したものです。同じアクチュエータは、より現実的でカスタマイズされた効果を生み出すために、さまざまな操作に応じた異なる振動信号も発生できます。
この機能のおかげで、触覚は、ユーザーへ「触れた感覚」を与える意味でタッチ画面にとって優れた「仲間」となっています。外部情報の主な入手源は、視覚と聴覚ですが、多くのユーザーは、触覚による触知刺激が実際にユーザー体験を豊かにすることに同意するでしょう。つまり、触覚は、HMI設計における技術的な選択肢としての重要性を増しています。
触覚フィードバック・アクチュエータ
先に述べたように、触覚フィードバックを実現する最も需要な部品は、アクチュエータです。適切な触覚フィードバック・アクチュエータを選択することは、設計の重要な第1ステップです。
触覚フィードバックに使用されるアクチュエータは、一般的に下記の3つに分類されます。
- 偏心モーター(ERM):偏心回転モーターを通して振動を発生します。これは、最も成熟した幅広い技術の1つであり、コスト面で明らかに利点があります。しかし、ERMの慣性により、応答速度(開始時間)は遅く、動作中のノイズは比較的低く、結果としての波形も比較的シンプルです。
- リニア・バイブレータ(LRA): LRAおよびERMは、いずれも慣性の触覚アクチュエータですが、機械的構造は異なります。LRAは、基本的にコイルで巻かれてバネにつながれた磁石です。コイル内の電気信号は、共振周波数に到達するために磁石の直線運動を制御し、異なる共振振幅の変調を通して異なる触覚効果を生み出します。ERMと比較して、LRAは、反応が早く、消費電力が小さく、より多くの振動波形を発生できます。しかし、ERMには、弱点があります。それは、動作帯域幅が狭く、環境の影響を受けやすく、長期的な性能の一貫性が損なわれうるということです。
- 圧電アクチュエータ:圧電アクチュエータは、触覚フィードバック分野で人気急上昇中であり、電圧を掛けると屈曲が起きて振動を発生するという圧電効果により振動を発生します。ERMやLRAなど慣性アクチュエータと比較して、圧電アクチュエータは、周波数および振幅に制限されず、より密度が濃く微細な振動波形を発生できます。応答時間は、わずかミリ秒単位で可能です。ノイズをほとんど発生せず、振動の振幅が大きく、さらなる小型化が可能です。ただし、圧電アクチュエータの駆動に必要なピーク電圧(100~200ボルト)は、より高く、LRAよりも電力を消費する専用ドライバが必要です。
設計プロセスの最初の段階で、開発者は、触覚フィードバック・アクチュエータのコスト、応答時間、消費電力、振動波形、その他の機能を正確に測定し、アプリケーションに最適なものを選択できます。
表1 触覚フィードバック・アクチュエータの性能の比較
HDドライバ設計
完全な触覚フィードバックシステム、特に複雑な波形とより良いユーザー体験を提供する「HD」触覚フィードバックシステムは、アクチュエータに加えて下記のような部品を必要とします。
- ハプティック・ドライバ: ハプティック・ドライバは、メインコントローラとアクチュエータの間に挿入され、メインコントローラの指示に従ってドライブ信号をアクチュエータへ送信するために必要なアナログ機能とデジタルインターフェースを備えています。
- ソフトウェア: システムのニーズに応じてアプリケーション・プロセッサ、マイクロコントローラ、または組み込みドライバで稼働できる触覚フィードバックを発生させるために使用される波形。
必然的に、触覚フィードバックの台頭は、関連する半導体企業がビジネスチャンスを見出して、製品およびソリューションを開始することにも寄与しました。
つまり、触覚フィードバック技術とタッチ画面の組み合わせは、創造力を掻き立て、ユーザーの感覚に勢いを付けています。最終的に、ユーザーへ最も包括的な「感覚」体験を提供できるブランドが勝者として生き残るでしょう。

