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機械学習で市場に参入する方法

Philip Ling
artificial neurons
人工ニューロンを接続することで機械学習を実現できます。

人工知能(AI)は、ごく普通で、当たり前のものとなるでしょう。これは、ある程度、自信を持って言うことができます。というのは、既に非常に多くの半導体メーカーが、AI用に設計されたCPUを組み込んでいるからです。この種のデバイスは、現在の技術の主力製品であるCPUとして至る所に導入されるでしょう。事実、これらはMCUにとって自然な進化の流れです。

ここで、AIにどのように着手すべきかという非常に重要な問題が生まれます。しかし、これは「どのようなAIが自社に相応しいか」というさらに重要な問題への答えを無視しています。もちろんAIは、至る所に導入されるとしても設計の万能薬ではありません。技術者は、アプリケーションに対する最適なソリューションを選ぶ必要があります。

アヴネットは、顧客が最も重視するのは結果であることを理解しています。用途を理解するなら、可能なソリューションは自ずと明らかになります。これは、AIがこれほど身近になる前でも、今でも同じです。この点で、AIは他のコンポーネントと同じです。

しかし、変化したのは顧客の姿です。AIはソフトウェア分野で生まれたため、10年以上の経験を持つ本当の専門家といえるのは、ソフトウェア会社です。特に産業、医療、航空など、垂直市場においてソフトウェアを市場に投入するには、適切なハードウェアが必要です。

Avnet Silica EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)担当のAI/ML & Visionシステムソリューション・マネージャーであるMichaël Uyttersprotによると、これはアヴネットが真の価値を提供できる分野の1つです。同氏は、「私の役割の1つは、コンピュータビジョンの経験を持つ企業がこれら新しい用途へ参入するのを支援するために、必要な知識経験およびパートナーを獲得することです」と述べています。

これらの用途は、産業、自動車、医療、航空、および防衛を含め、アヴネットが得意とするすべての垂直市場に存在します。機械学習(ML)は、予知保全を含む多くの用途で使用されています。しかし、Uyttersprotが説明するように、ビジョンシステムは最大の興味を引き付けています。Uyttersprotは、「この中には、スマートシティ向けのアプリケーションを含めることができ、この場合は、運転中の携帯電話の使用などの行動を検知するためにカメラが使用されています」と述べています。

MLを搭載した産業用マシンビジョンに相応しいハードウェアの選択

マシンビジョンシステムを開発する場合、適切なイメージセンサの選択は、最も重要な設計判断の1つとなりえます。これは、画像データの分析にMLを使用する場合、さらに重要性が増します。

Uyttersprotは、「生産ラインを流れる瓶など、高速移動する物体をチェックするためにMLを搭載したマシンビジョンを使用する場合、グローバルシャッター付きのカメラモジュールが必要となります。ローリングシャッターは、このアプリケーションで機能しないでしょう。なぜなら細部が見落とされる可能性があるからです」と述べています。

同様に、イメージセンサは動作環境に適している必要があります。また、アプリケーションによっては、適切な微光性能を備えたイメージセンサを選ぶ必要もあります。このように、マシンビジョンを使用する際に考慮すべきことがありますが、MLを使用して解釈されるデータを生成する場合には、さらに重要となることがあります。

データは、人ではなくアルゴリズムにより分析されるため、これはマシンビジョンシステムに異なるセンサーモダリティを導入する機会をもたらします。この中には、飛行時間、レーダー、ライダーなど、イメージセンサ以外のモダリティが含まれることがあります。これに併せて、センサ・フュージョンが必要です。

センサ・フュージョンは、複数の情報源からデータを取得し、ニューラル・ネットワークへ流せるように1つのデータセットに統合するプロセスです。これは重要な段階です。各センサデータの加重方法は、最終的なデータセットにおける関連性に影響するからです。

用途はそれぞれ異なるため、標準的な方法はなく、それがすべてメーカーにかかる可能性があります。アヴネットと仕事をする場合、専門家がセンサ・フュージョンを扱います。通常、これは機械学習アプリケーションを開発したソフトウェア会社ですが、アヴネットおよびパートナーの支援を受けた顧客の場合もあります。

産業界におけるMLのトレーニングおよび転移学習

機械学習の概念を立証するデモ製品の開発は、以前ほど難しくありません。特に評価モジュールと開発キットを提供できるディストリビューション・パートナーと協力する場合は、そういえるでしょう。現在も難しいのは、概念を生産にまでつなげることなのです。

「標準データセットはデモ目的で使用できますが、これら標準データセットは導入に適さない場合が多々あります。顧客はデータの作成経験がある企業からデータを購入するか、さもなければ自ら作成する必要があります」とUyttersprotは述べています。

ここで役に立つのが、ある用途のために作成されたデータを、類似した新しい用途に利用する転移学習などの技法です。しかし、これは1つのソリューションに過ぎません。もう1つは、3Dモデリングを使用して仮想的に合成データを作成する方法です。これは多くの画像を素早く作成することができ、それを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングできるため、実物サンプルを作成する手間と費用を省くことができます。

合成データには利点がありますが、MLにおけるほとんどのモノと同様、それは必ずしも簡単ではありません。課題を理解することは、最適な結果を生み出す重要な要素の1つです。アヴネットが顧客と協力するにあたっての第1ステップは、MLおよびその機能を導入することです。第2ステップは、顧客が本当に望むものを理解することです。場合によっては、MLを搭載していないコンピュータビジョンのみを必要とすることもあります。また、パートナーと協力し、選択肢に関する十分な情報を、ソリューションを開発する前に顧客に提供することは重要です。

エッジかクラウドか

これは、AIがネットワークのエッジに導入されるようになった今、以前よりも頻繁に尋ねられるようになりました。しかし、Uyttersprotは、この2つが共存する可能性を指摘しています。というのは、それぞれ他方にない利点があるからです。

たとえば、特定の用途でセキュリティまたはレイテンシが必要な場合、エッジ処理をするのが適正かもしれませんが、アプリケーションが継続的に改善できるアルゴリズムを必要とする場合は、クラウド処理の方が適している可能性があります。

Uyttersprotは、次のように述べています。「エッジとクラウドを両方使用することには、意味がある可能性があります。スマートサーモスタットなど、異なる場所に多くの装置がある場合は、エッジ処理を使用できます。しかし、クラウドを介したデータ共有は、アルゴリズムの改善につながる可能性があるため、サーモスタットのネットワーク全体に導入できるでしょう」  

結論

強力なAI加速化技術を備えた高性能プロセッサが簡単に入手できるようになったこともあり、産業分野における機械学習の使用は増えています。しかし、ソフトウェアが、トレーニングおよび導入において重要な役割を果たしていることに変わりはありません。モデリング技法および転移学習は役に立つかもしれませんが、プロセッサメーカーから入手できるリソースおよびソフトウェアツールも同じです。機械学習を成功させるためには、ハードウェアとソフトウェアが協働しなければなりません。

アヴネットおよびそのパートナーは、顧客が機械学習を用いた市場参入方法を理解できるよう支援できます。詳しくは、現地のアヴネットの担当者へお問い合わせください。

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Philip Ling is a Technical Content Manager with Avnet. He holds a post-graduate diploma in Advanced ...

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