医療機器におけるIC技術:用途と傾向
医療機器におけるIC技術:用途と傾向

医療機器におけるIC技術:用途と傾向

医療と半導体

医療技術の進歩に伴い、医用電気機器におけるIC(集積回路)技術の重要性は増しています。特に、デジタルICは、電子情報の収集、保管、および伝送に依存する医用電気機器において、多くの用途で使用されています。この市場拡大に直面し、デジタルICは、スマート化、小型化、また高機能化が進んでいます。

医用電気機器の開発

現在、IC技術は医用電気機器の4つの分野、つまり医用画像機器、医療機器、民生用医療機器、および診断/患者モニタリング/治療機器で使用されています。IC技術は、この全分野で医療機器のスマート化、小型化、省電力化、および高精度化をもたらしましたが、最大の恩恵を受けたのは民生用医療機器です。

通常、医療機器は、より正確で、効果的かつ便利で安価な医療の実現を目指しています。また、より安全で低侵襲性の治療と手術を実現することも目的としています。これら目標を達成するためには、小型化と省電力化と信号の確実な伝達が必要です。センサー、ADC(アナログ・デジタル・コンバーター)、RF(無線周波数)システム、およびマイクロコントローラーは、このプロセスで重要な役割を果たします。これは、画像処理と信号処理でも同じです。 現在、より簡単で高速、そして願わくば人間の知能よりも信頼性の高いモニタリングと診断を実現するために、これらのシステムに人工知能の搭載が進められています。

半導体化された医療機器

業務用医療機器には超高品質の部品が求められるため、民生用機器と比較して、より高精度で高信頼性、かつ明らかに高価な半導体が使用されています。しかし、高齢化社会の到来により、さまざまな在宅医療サービスおよびウェアラブルモニターなどの幅広い医用電気機器が求められるようになり、民生用機器と医療機器の境界線が徐々に曖昧になっています。

IC技術は、デジタルICとアナログICの2つに分類できます。いずれも医療機器で幅広く使用されています。デジタルICは、回路の密度を最大化するために、マイクロプロセッサ、FPGA、メモリ(RAM、ROM、フラッシュメモリ)、デジタルASIC(特定用途向け集積回路)、その他のコンポーネントで使用されています。そしてアナログICは、オペアンプ(OP)、リニアレギュレータ、位相同期ループ、発振器、アクティブフィルタなどに用いられ、利得、整合、電力損失、抵抗など、半導体デバイスの物理特性に影響を与えます。アナログ信号の増幅やフィルタリングの重要な忠実度を達成するために、アナログICは一般的にデジタルIC設計よりもアクティブデバイス面積を使用し、したがって回路密度は低くなるのです。

医療機器には、デジタルICやアナログIC、MEMSからDSP、FPGAまで、ほとんどすべてのチップが広く使われているため、セキュリティを内蔵したものが増えています。ASIC技術は、特定のシステムまたは機能のニーズにぴったりと合わせることができるため、医療機器のカスタマイズ要求に応じて広く利用されています。たとえば、CT(コンピューター断層撮影)用のX線カウンティングIC、補聴器(μC、DSP、およびオーディオエンジンを搭載したデジタルIC;ADC、DAC、マイクIF、また電源などのサポート機能を備えた混合信号IC)、NFC読み取りによる連続温度計測(患者モニタリング、妊娠中の管理、医療品搬送など)、および血糖値や凝固などの状態を調べる血液分析で使用されています。

FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)は、医療分野を含め、急発展している分野で幅広く使用されています。また、プログラマブルFPGAおよびシステムオンチップ(SoC)も、医療用超音波、デジタルX線、CT、MR、PETスキャナーなどの医療機器および用途、そして診断機器、手術機器、その他の医療機器で幅広く使用されています。

三次元集積回路(3D IC)の活用は、医療技術において次第に進んでいます。3D ICは、さまざまな処理、メモリ、無線周波数、センサ、その他の機能ブロックを複数の積層シリコンウエハーに集積したものです。これら部品および機能は、すべてTSV(シリコン貫通電極)などのコネクタで接続されます。このような半導体は、省スペースである反面、その複雑さゆえに、設計および集積に困難が伴います。その結果、医療分野では、外形サイズ、電力、エネルギー消費、熱エネルギー、および電磁波の影響などの面で難しい要件があるため、3D IC技術の革新が続けられているのです。全体的な市場規模は、民生用機器市場よりも小さいものですが、人口の高齢化によって拡大し続けています。

将来の展望

現在、医用電気機器は、研究、公衆衛生データの収集と保管、患者記録へのアクセス、看護など、主に非臨床領域で使用されています。 しかし、モニタリング、診断、外科的および非外科的治療(神経技術による薬物送達、神経刺激など)で使用される機器が増えるにつれ、臨床医療機器における半導体の使用も増えています。また、患者が自宅で使用して医師にデータを送信する体内埋め込み型の臨床機器、あるいは患者の体に取り付けたセンサーから生体信号を取得するモニタリングサービスなど、モニタリングシステムでの使用も増えています。

医用電気機器の驚くべき進歩により、医療の提供および患者のQOL(生活の質)は、常に向上しています。また、コロナウィルスの大流行が医療技術のイノベーションを加速させたことは、周知の事実です。医療機器に使用されるデジタルICのおかげで、私たちの社会は間違いなく、より健康になり、私たちの生活は、より向上しているのです!

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