まだ、ミリ波5Gは「終焉」を迎えていない

5Gの終焉を口にする否定論者は、正しいのでしょうか。それとも、ミリ波周波数は5Gの救世主となるのでしょうか。
5Gの規格が最初に発表されたとき、注目された1つの事実は、ミリ波周波数の使用でした。この領域は、どの無線通信業者も、その意味ではほぼ誰も手を出そうとしなかった周波数領域でした。少なくとも、現在4Gで使用されているより電磁スペクトルで1桁高い周波数、つまり可能性として最大100 GHzが使用されると思われていたのです。メディアおよび他の興味ある個人がこの事実を知った時、これがとてつもなく困難な仕事になることは明らかでした。
事実、最近の記事は、5Gにおいて「ミリ波は終焉を迎えた」と主張しています。その主な理由は、これら周波数で到達できる距離が短いため、膨大な数の小規模な基地局が必要であり、一部の推定によると無線通信事業者に650億ドルのコストが発生する可能性があるからです。
では、否定論者は正しいのでしょうか。それとも、ミリ波周波数は5Gの救世主となるのでしょうか。この記事では、その質問に対する答えを探ります。しかしその前に、それがこれほど異論の多い問題となった理由を理解する必要があります。
空き領域の不足
無線の初期の時代から、連邦政府は当時利用できた技術に基づいて、AMおよびFMラジオ、テレビ放送、警察消防、その他多くのサービスに周波数を割り当ててきました。 最初は低い周波数でのみ技術的に運用可能であったため、そこから割り当てが始まりました。技術が進歩するにつれ、より高い周波数での運用が可能となり、FCCはそこでのサービスの割り当てを開始して、必要な通信範囲に基づいて決定されました。その結果、周波数は、虫眼鏡がなければ読めないほど密集しました。
無線通信事業者にとって、ミリ波領域は、5Gの膨大なデータを扱う十分な帯域幅を持つ唯一の領域です。セルラー技術が台頭した時、伝播の視点から最も実現性の高い周波数は約600 MHzに始まる領域でしたが、その後約3 GHzまで拡張され、現在の通信事業者はそこを使用しています。しかし、4Gが始まり、ストリーミング動画に対応したデータサービスが台頭したことで、より多くの周波数が必要となった結果、無線業界は問題に突き当たりました。つまり、低周波数には通信事業者の競売にかけられる領域がほとんど残っておらず、一部の通信事業者は、他社よりも低い周波数を「確保」していました。たとえば、T-Mobileは多くの領域を確保しましたが、AT&TとVerizonはそれができず、まだ残っていたミリ波の割り当てを利用しました。その後、FCCはさまざまな取り組みの中でも特に、この領域においてより多くの周波数を解放する方法を必死に探し、既存の サービスを他の周波数へ「リファーミング(再配置)」してきました。
現在、5Gはこの問題を悪化させています。というのも、最新版の4Gは、約70 Mb/秒またはわずかに高いデータ転送速度が可能ですが、5Gは1 Gb/秒を超える速度が見込まれており、はるかに多くの帯域幅を必要とするからです。これは、低い周波数では絶対に入手できません。 超短波の使用は、わずかなサービスでしか利用されていない24 GHz、28 GHz、および将来はもっと高い周波数の膨大な帯域幅を使用することにより、このジレンマを解決するために設計されています。欠点は、これら波長での伝播距離が数百フィートに限られ、ほぼあらゆる物体により信号が減衰する可能性があるため、それを利用するために高度な技術が必要であることです。一部は、5G規格が発表された時点で十分開発されていませんでした。このような要因および他の要因により、無線通信事業者が十分なミリ波インフラを導入することは経済的に破滅的だと考える人々を多く生み出しました。 つまり、実現性がないと考えているのです。
しかし、過去の多くの技術と同様、ミリ波の利用に必要な技術は既に開発中であり、この通信範囲を提供することは、コストをかければ実際に可能であることが実証されてきました。本当に必要なのは、スモールセル基地局の数を劇的に増やすことなく、ミリ波信号がRF制約のある環境を通過できるように、「スマート」リピーター、高度なソフトウェアとアルゴリズム、デジタルビームフォーミング、その他のテクニックで構成される新しいネットワーク設計です。
つまり、スモールセルをあらゆる場所に設置するジョニー・アップルシードのやり方ではなく、より広い通信範囲を持つネットワーク「スマート」リピーターを使用して、屋内外の実質的にどこでも通信範囲を提供することにより、設備投資および総所有コスト(ToC)を50%程度削減できます。これが実現できる理由は、4Gおよび以前のセルラー世代は主に基地局を増加して容量と通信範囲を拡張してきましたが、リピーターベースのアプローチは、より少数のスモールセルをより効果的に使用することによって、信号をRFエネルギーが制約される場所に届けるからです。
これらリピーターは、街路灯の電柱からビル内の天井、スタジアム全体、その他の大規模会場に至るまで、ほぼあらゆる場所に設置できるほど小型です。当然、これには、特注のチップセット、メッシュ型ネットワーキング、数百素子を備えた巨大なMIMO アンテナ、およびトラフィックパターンの変化と、変化する伝播状態に即時対応できるアルゴリズムを含め、一連の技術を必要とします。
したがって、ミリ波技術導入の比較的初期段階にある今でも、これら周波数での運用を実現する1つのソリューションが既に存在します。将来、このモデルまたはミリ波5Gの運用を実現する同様のモデルを使用すると同時に、必要な通信範囲を達成してコストを容認できるレベルに抑える他のアプローチが導入される可能性は大きいでしょう。
とは言え、ミリ波技術が5Gで主要な役割を果たし続きる、より基本的な理由があります。以前セルラーと呼ばれていた第5世代の技術が達成しようとしていたことを、実際に達成する方法は他にないのが現状です。より低い周波数で領域が確保できたとしても、ギガビット/秒のデータ転送速度に必要な帯域幅は、即時に消費されてしまうでしょう。さらに、これら周波数で構成されるアンテナアレイは比較的小型であり、同相のアンテナ素子を組み合わせて信号をオンデマンドで非常に限定されたエリアへ差し向けることにより、非常に狭いビーム幅で高利得を達成できます。
5G性能の実現に必要なペースで受信機、増幅器、アンテナ、その他の技術を開発することは、非常に新しい試みであることを念頭に置くことも重要です。高度なテクニックを提案している研究論文は、既に数百件存在します。さらに多くの論文が発表されるでしょう。
したがって、これら周波数の運用で直面する大きな課題にも関わらず、業界は敗北を隠そうとしていません。その理由は、既に多額の金額を投じているからだけではありません。5Gは成功しなければならず、ミリ波周波数は唯一の現実的なソリューションを提供するからです。

