5Gが新しい多次元の世界を切り開く

5Gの商業化は順調に進んでいます。ARやVRなどの消費者市場における革新的なアプリケーションとは別に、法人市場における5G技術のアプリケーションの潜在性は非常に大きいでしょう。5Gの膨大な接続性、高信頼性、また低遅延性と、AIやエッジコンピューティングが組み合わされることによって、あらゆる事業分野で破壊的イノベーションが推進され、イノベーションに関する多次元の新しい世界へのドアが開かれるのは間違いないでしょう。

自動車と道路のコラボレーションが車両のインターネット化を加速化

5Gは、自動車のインターネット化（IoV）の時代の到来を加速化させてきました。まず、自動車はスマート認識およびクラウド交通情報のやり取りにより、自動走行を実現します。次に、自動車間の接続と情報交換により、安全な走行を実現します。最後に、全体的な都市交通の円滑な流れと安全性を実現するために、自動車と道路のコラボレーションの開発を行う必要があります。最近、揚子江デルタ地帯全体で唯一かつ初めてのプロジェクトとして、蘇州に中国の 5G 自動車と道路のコラボレーションプロジェクトが導入されたことが示すように、最後のポイントは特に重要です。このプロジェクトは、蘇州における年レベル5G IoVアプリケーションの第1弾であり、224.75キロメートルの道路を5Gスマートネットワーク道路へ変換させ、数百万個のデバイスをサポートし、同時に数千万件のデータを処理し、200,000以上のアクティブユーザーおよび150個のアプリケーションが稼働しています。後者には、3つの5Gおよび自動車と道路のコラボレーション・アプリケーション、つまり道路脇の5G見通し外の検知、信号機の情報プッシュ、および交差点における歩行者の衝突防止が含まれています。

自動車と道路のコラボレーションを実現するためには、RSU（路側機）と呼ばれるスマートデバイスを道路脇に設置することが必須です。RSUは、スマート認識センサーにより自動車、歩行者、および道路と交差点の状況データをリアルタイムで収集し、エッジで計算および分析し、リアルタイムの交通情報および交通予測をV2Xおよび5Gネットワークを介して自動車へ提供します。同時に、交通管制クラウドプラットフォームは、情報をクラウドへ送信することで道路交通管制を最適化し、交差点における信号機の自己調整管理を可能にします。さらにRSUは、5Gの超低遅延、高信頼性、および高精度測位技術を利用して自動車の安全走行をリアルタイムで監視し、自動車へさまざまな警告を発することができます。これは、都市交差点、高速道路、そして都市間の幹線道路における自動車の安全性を確保するために特に重要です。

 
アヴネットは、スマート認識からエッジコンピューティング、有線接続から無線接続およびクラウド接続に至るまで、RSUのアプリケーションで複数のソリューションを提供しています。また、スマート認識において、オン・セミコンダクターの画像センサーを用いた高度な認識技術、NXPミリ波レーダー、ams社のレーザーレーダー、およびTE Connectivityやメーカーが提供する温度、湿度、気圧、風速などの環境検知技術を統合しています。集められたデータは、XilinxおよびNXPが提供するエッジコンピューティング・プラットフォームでAIを駆使して計算されます。これらソリューションを使用することにより、道路上の人と自動車を即時保護するとともに、交通管理クラウドプラットフォームとの相互通信を通して道路網をまたがる情報コラボレーションを実現できます。

産業用移動型ロボットを活用したスマート製造

製造業が自動化とインテリジェント化の方向に進む中、中国では「完全自動工場」が台頭しており、産業用モノのインターネット（IIoT）を実現する主な5Gアプリケーションの1つとして焦点が当てられています。たとえば、Xiaomiの携帯電話を生産するスマート無人工場では、すべての作業がロボットで遂行され、生産管理および機械加工から包装、保管、および輸送までプロセス全体が無人完全自動生産により自動化されています。無人化学プラントの工場では、産業用移動型ロボットの無人搬送車 （AGV）が取り扱い、荷揚げ、荷降ろし、その他の作業をすべて遂行します。この車両は、予め決められた経路に沿って移動し、材料の保管場所と届け先を往来し、材料を自動的に搬送できます。ロボットアームは、荷揚げ、荷降ろし、またさまざまなきめの細かい作業を実行できます。同時に、品質検査はマシン・ビジョン・システムを使用して実行されるため、プロセス全体を通して人が介在する必要がなくなります。

IIoTは、TSN（Time-Sensitive Networking）を使用し、高精度の同期制御を必要とします。したがって製造業において、5Gは無線接続の便利さだけでなく、IIoT要件に適した低遅延および超信頼性サービスも提供します。アヴネットが提供するAGVソリューションは、マシン・ビジョン、ToF障害物回避、また経路計画アルゴリズムなど、複数のセンサーを統合しています。5Gネットワーク接続とクラウド高性能計算AIアルゴリズムを使用することにより、リアルタイムの経路計画、移動制御、および複数のデバイスのシームレスな協調をすべて簡単に実現できます。さらに、業務のニーズに合わせてワークフローをリアルアイムで調整することにより、フレキシブル生産を実現できます。

アヴネットが設計した無人搬送車（AGV）

ご存じのように、5Gネットワークは膨大な接続を提供します。つまり、すべてのモノをインターネットで接続するため、セキュリティというもう1つの問題が生じます。消費者市場であれ法人市場であれ、ネットワークセキュリティの確保は最も基本的な要件です。この点に関してアヴネットは、産業用、家庭用、および支払いアプリケーションの要件をまたがってセキュリティを実現するために、NXPプラットフォームを土台とする顔認識アルゴリズムを開発しました。同時にモノのインターネット（IoT）において、アヴネットとインフィニオンが共同提供する安全な暗号化チップおよび信頼性の高い暗号化モジュールは、識別認証、データ通信暗号化、ソフトウェア・アップグレード保護、また物理的な分離など、さまざまなレベルのセキュリティ保護を達成できます。当社は、安全性と信頼性を前提に、5Gのさまざまな革新的アプリケーションの開発プロセスを引き続き加速化させていきます。