見ることと理解することは違います-セキュリティも「スマート化」が必要です!

わずか10年前まで、ほとんどの工場や倉庫の「セキュリティ」は、番犬を連れた警備員に守られているのが普通でした。 その後、機械化が進むにつれ、大量のカメラ、NVR(ネットワークビデオレコーダー)、赤外線探知器、その他の機器が、公共および私的なセキュリティシステムに組み込まれてきました。しかし、機械化は、セキュリティの究極の目的ではありません。いわゆる「スマート」セキュリティシステムの欠陥は、さまざまな映画で描かれ、その脆弱性は、ペンチやチューインガムを使った無鉄砲なハッカーにより現実に曝露されています。 今の社会、すべてのデバイスにスマート化が求められています。したがって、セキュリティは、過去の失敗から学んで独自にスマートアップグレードする必要があります。
従来のセキュリティの問題点
数に「圧倒される」
多くの都市の公共スペースでは、人口の多さと大幅な変動が監視システムにとって大きな課題となっており、全体を網羅して正確に位置を特定するまでに至っていません。また、大規模な会議やイベントの開催および観光客の来訪により現地の人口は一時的に膨れ上がり、セキュリティ監視にさらなる課題をもたらしています。
受け身の「防御」
従来の監視システムは、問題が発生した後に対応するのが一般的であり、迎撃したり攻撃を防ぐことはできません。 ほとんどの場合、セキュリティスタッフは、問題が発生した後にレコーダーに保存されている映像を確認することしかできません。これは、何時間もかけて1秒ごとフレームごとに映像を分析することを意味します。 検索エンジンを使用すれば、即座に簡単に回答を入手できます。これを、目次や索引のない本で特定の単語や文を探す場合と比較してみてください。 同じように、問題が発生した後に監視カメラの映像を見て異常事態を探すのは、面倒で非効率的です。
リソースを使い尽くす
動画データの多さと利用率の低さも、従来のセキュリティの「スマート化」を急ぐべき正当な理由です。 2020年だけで、全世界で約18.1ペタバイト(1ペタバイト=1024テラバイト)のデータがビデオ監視により生み出されました。この膨大なデータは、同期間に生み出されたIoTデータの83.1%を占めています。しかし、実際には、労力や技術などさまざまな制約により、データの利用および効率が非常に低いのが現状です。今の時代、ビデオ監視のネットワークおよびインフラの構築自体は難しくありません。難しいのは、セキュリティビジネスを素早く正確にサポートするためのデータの活用です。
情報の隔離
データアイランドは、スマートシティの構築において回避できない課題です。また、セキュリティのスマートアップグレードにおいて対処すべき問題も生み出します。従来のセキュリティシステムでは、ハードウェアの整合性やプラットフォームのアーキテクチャなど、管轄、プラットフォーム、およびシステム間において橋渡しが困難なギャップが存在します。スケールネットワーキングおよびスマートトランスフォーメーションでは、導入の難しさとコストが問題となっています。
従来のセキュリティ技術に内在する制約は、次第に顕在化しつつあり、セキュリティ技術の用途に対する要件も業界によって異なります。セキュリティ業界は、AIやIoTなどの新しい技術の恩恵により、AIやMV(マシンビジョン)技術と連動する機会も手に入れています。画像認識や顔認識などのイノベーションは、セキュリティ分野で応用されています。特に今回のパンデミック発生後、公園やオフィスビルなどの場所で顔認識の新たな需要が急増しています。 同時に、今回のパンデミックにより、スマートセキュリティの開発ペースと注力が加速化しています。 AI対応のセキュリティは、多くの技術分野において具体的な目標の1つとなっています。
センサのアップグレード
一般的に、カメラのレンズは、ヒトの眼に例えられます。この「期待」は今も存在し、カメラのスマートアップグレードの目標点となっています。まず、眼は、物体をはっきり見ることができます。これを考えると、画像の解像度が720Pから1080P、2K、および4Kへと進歩してきたのも当然でしょう。しかし、高解像度は「物体をはっきりと見る」ための唯一の必須条件というわけではありません。環境条件が要件に合致しなければ、このような数値も空虚な標準パラメーターとなってしまいます。カメラのレンズが「はっきりと見る」ためには、カメラのコンタクトイメージセンサ(CIS)に一連の包括的な知的認識機能が備わっていなければなりません。
セキュリティ・アプリケーションにおいて、画像の鮮明さと場面の網羅性の要件は高まり続けています。日中の時間帯に適切な照明で鮮明な細部と色を忠実に再現した画像情報を提供するためには、朝方、夕方、夜間などの複雑な照明環境において、CISの暗視性能に対して、より厳しい要件が生じます。したがって、イメージセンサの超微光イメージング、製品性能、色彩表現、および近赤外線イメージング性能も、スマートセキュリティ導入の基本的な技術条件となっています。
マシンビジョン
従来のセキュリティシステムで効率が低い主な理由は、カメラで撮影した画像をレコーダーがほぼ「何も考えずに」保存してことにあります。解像度は向上し、保存スペースは拡大していますが、取得された情報は単なる「高画質」であり、ほぼ使用されないデータです。 効率性を向上させるためには、システムに1つの知的分析層が必要です。分析システムの計算能力をいかして大量のデータを分析、選別、および処理し、必要な情報を効率的に抽出できます。
MV技術アプリケーションは、セキュリティ業界に新たな変化をもたらしました。MVの主な目標は、二次元画像から三次元の環境情報を認識し、その環境において物体の形状、位置、姿勢、動作など幾何学的情報を処理する能力をコンピュータへ与えることです。目標認識、目標追跡、ステレオ技術、およびマルチドーム型カメラ追跡連系技術の進歩も同業界で起きています。MVの分析機能により、セキュリティシステムが「理解する」可能性が開かれます。たとえば、MV技術を通して画像信号の変化の検知機能および自動記録機能を追加すると同時に、監視および記録が可能なリアルタイム監視システムの設計において、画像処理技術と組み合わせることができます。これにより、システムは場面を特定すると同時に警告を発し、受動型から能動型へ基本的な改良を実現できます。
データのリアルタイム処理
AIデータ分析処理において、リアルタイムおよびそれに近いデータ処理能力は不可欠です。 そのためには通常、スマートエッジプラットフォームにおいて、AI推論および認識を起動する必要があります。現在、これら分析および推論プロセスは、主に画像/ビジョンプロセッサおよびイメージ・シグナル・プロセッサで実行されています。データを「オンサイト処理」する場合、さまざまなモジュールを連系させる必要があります。まず、NPU(ニューラルプロセッシングユニット)を使用してリアルタイム計算を実行する前に、有効なデータをISP(イメージ・シグナル・プロセッサ )に通して、鮮明な画像データを取得する必要があります。この時点で、実行できる機能の数はエンド側の計算能力により決まります。たとえば、エンド側の計算能力が1.5Tに達する場合、3~5個のアルゴリズムを同時に実行し、顔の検知、認識、追跡などの機能を実行できます。システム・オン・チップ(SoC)は、ユーザー側で十分なAI計算能力を提供するために、ISP、NPU、信号コーデックなどのモジュールを含め、性能面で強力な統合能力を必要とします。
現在販売されているほとんどのエッジコンピューティングは、車両・道路コラボレーションやガソリンスタンドなどの4~16チャネルの信号分析処理、または石油生産工場や変圧器変電所など200チャネルの小規模データセンターを対象としています。このような用途の場合、リアルタイムデータ処理によりユーザーのデータプライバシー保護が大幅に強化されると同時に、コストおよびエネルギー節約にもつながります。
ハイコンピューティングC/P値
カスタマイズの本質は、効率性向上にあります。この事実は、すべての業界に当てはまります。 スマートセキュリティに関わるAIコンピューティングにおいて、専用のAIビジョンチップは、汎用CPU/GPUより能力が高いため、コンピューティングの性能、効率、およびコスト効率性が向上します。
たとえば、国内のAI信号チップを考えてみましょう。100台のAIサーバーで25,000個の信号チャネルを処理して分析を行っているデータセンターの場合、よりコスト効率の良いAI専用のデータプロセッサAIチップを使用することで、実際には4倍以上の性能を備えた計算能力を実現できます。 つまり、同じ性能の同じアプリケーションの場合、必要なAIサーバーの台数を100台から、わずか25台に減らすことができるのです。これは、データセンターにとって70%を超えるコスト節約を意味します。このようなコスト面での利点により、スマートセキュリティは、大きな商業的可能性を持っています。
近年、法人および個人向けのセキュリティ市場において「AI+セキュリティ」の需要は、徐々に拡大しています。 それを証明するデータがあります。2020年、中国におけるAI+セキュリティのソフトウェアおよびハードウェア市場の規模は、453億人民元であり、2021年には前年比19.5%増の542億人民元に達すると期待されています。この新しいレースにおいて、競合企業は、互いに「警備員」としてのスキルを競い合うだけでなく、業務および業界をまたがって複数の技術を最初に統合するために競争しています。
おそらく、このレースに勝つのは、最も「包括的な」スマートセキュリティでしょう。

