ゴミ分別でできることは?
August 6, 2019

ゴミ分別でできることは?
「このゴミの種類は?」 - 上海市民はそれぞれのゴミをゴミ箱に投げ入れる際に、毎日、時には一日に何回も、このように自問自答しています。2019年7月1日に上海家庭ゴミ管理規則(Shanghai Domestic Waste Management Regulations)が施行されてから、上海は強制的にゴミ分別を実施する中国初の巨大都市となりました。
上海市民は今や自分たちが出すゴミの性質を考えることに貴重な「思考」を振り向けなければなりませんが、それも都市部のゴミ処理には入念な計画が求められるからです。上海市の住民は一人一人が毎日1キロを超えるゴミを出していると推定されますが、つまり市全体では一日に26,000トン超のゴミが発生していることになります。こうしたゴミが圧縮や粉砕の過程を経ないのであれば、ゴミの山は積み上がり15日ごとに421メートルの塔がそびえ立つと想定されます。さらに、上海の場合はとりわけ特別なケースとなっています。「ゴミ包囲」危機は、中国全土や世界各地で共通する問題なのです。
人間は、その性質からして物事が面倒な場合には辛抱強く取り組まない傾向があります。逆に言えば、物事が容易な場合には取り入れてきちんと実践する姿勢が高まるのです。幸いにも、複雑なものを単純化することが技術的に可能な長期的ソリューションとなります。
苦悩を軽減しゴミ分別のプロセスを促すという目標のもと、スマート・ゴミ箱の集中的研究開発が重要視されています。ゴミ処理のプロセスでは、廃棄から回収、処理場への搬送に至るまで、ゴミ箱がユーザーとゴミ処理施設を接続機能でつなぎます。そのため、ゴミ箱がゴミ廃棄をより簡便にしてゴミ処理の効率向上をもたらすことが大いに期待されているのです。
理想的なスマート・ゴミ箱は、想像に難くありません。
• スマート・ゴミ分別:スマート・ゴミ箱がゴミを正確に分別するので、ゴミを捨てる前に分別で頭を悩ませることはもうありません。
• 識別:「ゴミ廃棄者」の身元が検知されて報告されるので、規則に違反した者が罰せられるようになります。これには、バーコードの読み取りやより高度な生物測定技術が関わります。
• 容量センサー:これにより、ゴミ箱の中のゴミ量を同時かつ正確に感知して容量が最大容量に近づくと適切な措置を発動させます。
• トラッキングおよびポジショニング:この機能では、多分にGPSのような位置情報がもたらされゴミ箱の完全なトレーサビリティが可能となるため、ゴミの回収と搬送の効率性が最適化されます。
• データ転送:ゴミ箱で生成され回収されたデータは、円滑な伝送チャンネル経由でクラウドにアップロードされます。
• フィード情報分析:データはクラウドで処理・分析がなされて、ゴミ処理の効率性を高めるロジカルディスパッチの判断がもたらされます。

図1 アヴネットのスマート・ゴミ箱ソリューション
ここ数年、アヴネットはスマート・ゴミ箱の開発技術にひそかに注目してきました。アヴネットが開発したスマート・ゴミ箱ソリューションには、上記で紹介した数多くの機能がすでに備わっています。レーザーレーダーや超音波センサーを利用することで、ゴミ箱内部の容量は極めて正確に感知されます。データは、NB-IoTまたはWi-Fi経由でクラウドにアップロード可能です。ゴミ回収ルートは、クラウドデータから得られた専門情報を利用したゴミ箱の容量と位置情報に基づいて論理的に計画されます。ゴミ処理関連情報は、すべてスマートフォンのアプリを介してユーザーとゴミ回収業者によるアクセスが可能となっています。

図2 アヴネットのスマート・ゴミ箱ソリューションのクラウド管理
このソリューションでは現実の要件に応じて他の機能との統合も可能となるので、市販可能製品を迅速に開発して市場に投入することができます。
驚くことではありませんが、市民に最も実用的な利益を約束するスマート・ゴミ箱の機能である「スマート分別」機能は、開発・導入にあたり最も難を要しました。家庭ゴミは多種多様です。人は習性の生き物であり時間をかけて物事を学び身に付けていくので、パターンを見いだしゴミ箱にゴミの種類の正確な識別法を「教え込む」にはさらに多くの時間がかかることになります。そうは言っても、人工知能技術の進歩と相まって、この分野に取り組む専門家の数は増えるばかりです。スマート分別をあらゆるシナリオで導入・実施するのは難しいでしょうが、オフィスといった特定の状況ではスマート分別は可能なだけでなくすでに実施されているのです。
中国で事がすべて計画通りに進めば、家庭ゴミ分別と処理施設への投資は2019年には主要46都市で増額される見込みとなっています。具体的には、2020年までに基本となるゴミ分別と処理システムが当該都市で導入・実施される予定であり、 2025年までには地級市でゴミ分別と処理システムの構築が完了することになっています。
スマート・ゴミ箱は、政策の影響を受けやすい典型的な製品です。市場が過去に「暴発」しなかったとしたら、それは単に人々がゴミ管理の緊急性に気付いていなかったからです。研究開発が進みゴミ分別戦略が展開される中、スマート・ゴミ箱はすぐに現実のものとなるでしょう。
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