ワイヤレス電力伝送は、インダストリアルIoTの再定義につながるか?

Trends like condition monitoring, asset tracking and process control could see the Industrial IoT increase to billions of 24/7 endpoints. Wireless power transfer technologies could solve the looming problem of how to provide continuous power to all those sensors.
ネットワークに接続されるデバイスの予測は、常に更新されています。これは、モノのインターネット(IoT)の定義が非常に流動的であることが理由かもしれません。デバイスの定義を、インターネット・プロトコル・リンクを介してインターネットで直接アクセスできるものに限定するなら、 ゲートウェイまたはハブを介して間接的にアクセスされる非常に多くのデバイスが除外されてしまいます。これには、すべてのセンサおよびアクチュエータが含まれる可能性があります。
おそらく、IoTをサービスの観点から説明する方がより妥当でしょう。サービス指向アーキテクチャ(SOA)の概念は、さまざまな垂直市場で勢いを増しています。このように拡大が進む中、SOAは将来のIoTをより正確に説明する方法になりえます。
これは、学者ぶっているように思われるかもしれませんが、重要なことです。SOAへ移行することにより、センサは個別にアドレッシングできるデバイスとして捉える必要がなくなります。これは、エッジにおける人工知能(AI)を使用する傾向と完全に一致しています。AIを使用して「処理能力のない」センサ群から行動を推論するセンサ・フュージョンは、IoTの再定義につながるでしょう。このセンサクラスタの出力は、サービスとなるでしょう。データが引き出される方法は、接続されたエンドポイントから提供されるサービスと比較して、さほど重要ではありません。
IoTにおけるSOA向けワイヤレス電力伝送
AIおよび停電力CPUを使用することで、強力なコンピューティング・プラットフォームがデータの中心に置かれます。これらプラットフォームをできる限り多くのセンサノードに接続することにより、それを活用することには意味があります。センサデータを統合および集約することにより、機械学習を使用して、真実の情報を得ることができます。より具体的に言うと、エンドポイントは、生データや単なる洞察でさえもなく、情報に基づいたサービスを提供できます。
各エンドポイントは、数十個または数百個の単一目的のセンサへ接続できます。しかし、広範囲に広がるセンサへ継続的に給電することは、制限要因となる可能性があります。すべてが電池駆動型ならば、1人のオペレータが多くのセンサを保守できる準備はできないでしょう。有線給電の導入も制限要因となる可能性があります。
ここで、本当の意味で大きな影響を与えるのが電源内蔵式センサノードです。主電源として代替エネルギーに依存することは、日々有効になりつつあります。超低電力マイクロコントローラは、浸透し続けており、環境発電を使用した無線通信は実現性が立証されています。
このすべてが、RF電力伝送に対する新たな興味と投資の拡大を示唆しています。これには、RFID(無線周波数識別)および無線充電規格に関する前例が既にあります。非接触の電力伝送は、誘導結合または容量結合を使用した小さいエアギャップを越えて作用します。しかし、ワイヤレス電力伝送が無線センサネットワークにおいて有効となるためには、より長距離に、通常は数十フィートにわたり、作用する必要があります。これは、放射エネルギーを無線で捕捉する方向を示しています。
これを実現する従来の方法は、RF波形を発信して、給電されているデバイスのアンテナで受信する方法です。無線周波エネルギーは、的を絞って目的をもって放射したり、Wi-Fiアクセスポイントなど区域内の他の無線デバイスから迷走無線周波エネルギーとして放射できます。
状態監視、資産追跡、プロセス制御などの傾向により、インダストリアルIoT(IIoT)は年中稼働する数十億個のエンドポイントへ増加する可能性があります。ワイヤレス電力伝送技術は、これらすべてのセンサに継続的に給電するという差し迫った問題を解決できる可能性があります。
効率性が商業的成功の鍵
ワイヤレス電力伝送のアイディアおよび実際の導入は、まったく真新しくありません。無線給電がNikola Teslaの社運を賭けた野心の1つであったことは有名な話であり、それを100年以上前に明らかにしています。また、効率性の優先度が低いアプリケーションでは使用されているため、確固たる根拠に基づいた理論です。
近年、効率性向上により、商業的環境での実現方法が変化してきました。効率性を向上させる1つの方法は、発生したすべてのエネルギーをポイントツーポイントの構成で受信機に差し向けることです。これは、Emrodという名前の企業が用いたアプローチであり、最近、数キロワットの無線給電を実証するためにニュージーランド第2の電力会社と契約を締結しました。その到達距離は、給電容量、アンテナの大きさ、そして2本のアンテナ間の明確な見通し線によってのみ制限されます。
Emrodは、同社の特許技術を活かして送受信アンテナでメタマテリアルを使用していると述べています。このメタマテリアルが鍵です。というのは、実質的に損失なしに、無線周波エネルギーを電力に変換するからです。同社は、この技術には拡張性があり、アンテナを大きくするほど多くの電力を伝送できると主張しています。
インダストリアルIoTの場合、どちらかと言うと、問題は技術の縮小です。センサノードは小さいため、大型のアンテナを収容する余裕はあまりありません。しかし、複数の有線センサノードに給電する、より小型無線変電所はおそらく成功するでしょう。
無線センサネットワーク用の電力伝送
複数の企業は、無線センサネットワークで使用できるワイヤレス電力伝送向けのソリューションを既に提供しています。TransferFiは、IIoT ゲートウェイを利用したビームフォーミングを使用してRF電力伝送のみに集中しています。同社は、同社のゲートウェイが最長24メートルの有効距離によりセンサに給電できると述べています。センサ自体は、3軸加速度計を備え、Bluetoothを使用して通信します。
Everactiveのセンサは、熱、光、RF、および振動を含め、複数の環境発電テクニックを使用してエネルギーを捕捉および貯蔵します。この電池不要、常時接続、および常時送信のアプローチにより、給電の費用をかけることなく、遍在するセンサをサポートできます。
もう1つは、GuRuという名前の企業の事例であり、ミリ波技術を使用して無線で給電します。同社のSmart Lensing 技術は、エネルギービームと表現されています。これは、域内の迷走RFを捕捉するために後方散乱通信(AmBC)のアプローチを使用するのではなく、ビームフォーミングを使用して効率性を向上させる点で、他のアプローチに似ています。しかし、これをミリ波の周波数を使用して行うことは独特のように思われます。この技術は、ユビキタス電源が実現されれば将来の6Gネットワークで採用される可能性はありま。
ほとんどのワイヤレス電力伝送技術は、近接場(誘導型)または非近接場(放射型)の技術を使用しています。ワシントン州レッドモンド市に拠点を置くOssia社は、この2つを組み合わせてスタンドアロン型の1つのワイヤレス電力伝送 ソリューションに統合しました。Ossia社は、米国での販売許可をFCCから取得し、最近は欧州および英国市場でも無線給電技術を使用する許可を取得しました。Ossia社の技術は、他の技術と異なり、見通し線に制限されておらず、家具、人、ペットなどの障害物を検知するだけでなく、それを「迂回」できるパスを送信機と受信機の間で生み出します。これにより直接の見通し線がなくても給電を維持します。これは、一般的に障害物があると給電を停止する上記の他の方法と異なります。
ワイヤレス電力伝送の今後の発展
6G 通信ネットワークのビジョンの一部は、アーキテクチャを再定義することになるでしょう。この中には、これまで開発され建物や他の構造物に組み込まれてきたセル型ネットワークとは大きく異なる分散型ネットワークへの移行が含まれます。
これは、ネットワークを使用した電力および超低電力(ゼロエネルギーとも呼ばれます)ノードへの無線給電にも広がります。また、これらノードは、構造物の一部となり、ネットワークから無線周波エネルギーを供給されるでしょう。これによりネットワークのカバー範囲および基本的な機能を継続できるでしょう。
これは、まだ研究段階ですが、6Gとなるワイヤレス電力伝送への組み込みは、重要と捉えるべきです。これは、IoTがエッジにおいてエクストリーム・エンドポイントとも呼べる形で、つまり間接的にのみアドレッシング可能で一般的に目に見えないエンドポイントをサポートする形で拡大することを示唆しています。これらデバイスは、ローカルベースで能動的に検知および報告し、IoTのスモールデータ呼ばれうるものに向けて貢献するでしょう。
これが実現すれば、すべてのモノが常時接続されていることを期待する新世代のユーザーが現れるでしょう。「処理能力のない」モノという考え方は、次世代に相容れないものとなり、インターネットが到来する前の世界と同じように奇妙になるでしょう。6Gの詳しい状態に関しては、資金を得て必要な根本技術に取り組んでいるプロジェクトの1つであるトナカイプロジェクトをご覧ください。
将来の考察
ワイヤレス電力伝送で使用されているほとんどの技術は、基本的な原理に基づいています。ハイパースケール処理およびシミュレーションを含む分野の発展により、ここ数十年で、これら原則の適用方法が変化してきました。
基本的でないことは、メタマテリアルおよび整流アンテナ(レクテナ)の使用です。メタマテリアルは、素材というより電磁波の処理方法が重要であり、これはワイヤレス電力伝送において不可欠です。レクテナは、無線周波エネルギーを直流に変換(整流)するために設計された受信アンテナであり、この理由により、ワイヤレス電力伝送の開発において同様に重要です。
現在、ワイヤレス電力伝送の導入方法は、近接場から非近接場までサブGHz~数十GHzの周波数でいくつかあります。ワイヤレス電力伝送は、今10年における最も重要な技術の1つと捉えられており、それ相当の理由があります。IEEEのワイヤレス電力伝送に対する考え方に関しては、wpt.ieee.orgをご覧ください。
ほとんどの新興技術に言えることですが、おそらく私たちは、さまざまなアプローチにおける一定の統合と減耗を期待できます。環境発電用の電源管理IC(PMIC)、超低電力無線マイクロコントローラ、および電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタ)や充電池などの小型のエネルギー貯蔵装置を含め、現在、主な要素は、すべて入手できます。
ワイヤレス電力伝送の利点は、IIoTにおいて最も高く評価できます。予知保全および状態監視は、産業用アプリケーションの基本となりつつあり、これはリアルタイムの運用データを年中捕捉するためのセンサに大きく依存しています。導入できるセンサが多いほど、業務の継続のために、より多くのデータを捕捉して解釈できます。
IIoTにおいてワイヤレス電力伝送の潜在性を実現するためには、メタマテリアル、レクテナ技術の発展、および超低電力ICの継続的な進化に対するさらなる投資が必要です。

